Library and Information Science

Library and Information Science ISSN: 2435-8495
三田図書館・情報学会 Mita Society for Library and Information Science
〒108‒8345 東京都港区三田2‒15‒45 慶應義塾大学文学部図書館・情報学専攻内 c/o Keio University, 2-15-45 Mita, Minato-ku, Tokyo 108-8345, Japan
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Library and Information Science 88: 1-23 (2022)
doi:10.46895/lis.88.1

原著論文Original Article

健康および社会的な支援に関する視覚障害者の情報ニーズとそれを満たすための情報源視覚障害者支援施設に関わる人びとを対象としたインタビューを通じてVisually Impaired People’s Information Needs and Sources on Health and Social Support: Interviews with Stakeholders of Services for People with Visual Impairment

慶應義塾大学大学院文学研究科Graduate School of Library and Information Science, Keio University ◇ 〒108–8345 東京都港区三田2–15–45 ◇ 2–15–45 Mita, Minato-ku, Tokyo 108–8345, Japan

受付日:2022年2月16日Received: February 16, 2022
受理日:2022年7月24日Accepted: July 24, 2022
発行日:2022年12月30日Published: December 30, 2022
HTMLPDFEPUB3

目的】本研究は,視覚障害者の情報ニーズおよびそれを満たす情報源を明らかにすることを目的とする。当事者や支援者が情報入手の困難さを認識しているトピックの中から,とくに健康および社会的な支援に関する情報に焦点を絞る。そのために,Nick Moore(2000)による視覚障害者が必要とする情報の8つのカテゴリを用いた。そのカテゴリとは,「目の病気,その治療」,「給付や給付金」,「一般的な健康情報」,「福祉用具」,「住宅や居住施設」,「移動」,「サービスや施設」,「雇用や教育,訓練」である。

方法】30代から70代の視覚障害者18名を対象に,インタビュー調査を実施した。18名全員が視覚障害者の日常や社会生活を支援する施設の関係者であった。構造化インタビューでは,調査協力者の属性や状況および調査協力者が情報を入手するために日常的に利用する手段について,半構造化インタビューでは,Mooreの8つのカテゴリに従って,情報ニーズやそれを満たすための情報源,情報探索の際に遭遇する困難について尋ねた。

結果】Mooreの8つのカテゴリの中では,「移動」に関する情報ニーズがもっとも多く,それに「給付や給付金」,「一般的な健康情報」,「福祉用具」が同数で続いた。それぞれの情報ニーズを満たすために,インターネット,そして人,すなわち家族や友人,知人が情報源として主に利用されていた。本研究の調査協力者は情報を入手するための手段を豊富にもっていた。しかしながら,協力者のほとんどはインターネット上の情報のアクセシビリティが不十分なために困難を感じており,その困難の解消に晴眼者を介する事例が多くみられた。それに加え,インタビューでは,有効な情報を得ても,理不尽な「障壁」によって,最終的にニーズが解決しないという困難も聞き取れた。その困難を解消するために,過去に同様のトラブルを経験した同じ障害のある人を情報源とする傾向があった。

Purpose: This study aims at examining information seeking behavior of visually impaired people in Japan. N. Moore divided routine information required by visually impaired people into eight categories: ‘The condition and its treatment,’ ‘benefits and money,’ ‘general health,’ ‘aids and equipment,’ ‘housing and accommodation,’ ‘mobility,’ ‘services and facilities,’ and ‘employment, education and training.’ We used these categories as a tool to understand the information needs and sources of visually impaired people.

Methods: Structured and semi-structured interviews were conducted with 18 visually impaired people, aged between 30 to 70 years. They were stakeholders of services for visually impaired people. In the structured interviews, demographic features and the methods of obtaining routine information were inquired. The semi-structured interview inquired about their information needs and sources, and their difficulties while seeking information.

Results: The participants employed numerous ways of obtaining information. Information needs about ‘mobility’ were most frequently mentioned by the participants, which was followed by ‘benefits and money,’ ‘general health,’ and ‘aids and equipment.’ Most of the required information was supplied by the Internet and family members, friends, and acquaintances of the participants. However, most of participants experienced difficulties caused by insufficient access to information on the Internet and had to ask sighted people for help. In addition, it was observed that the needs were not completely fulfilled owing to the barriers visually impaired people faced even after obtaining effective information. To solve their problems, participants often sought help from other visually impaired people who faced the same problem in the past.

I. 視覚障害者の情報ニーズとそれに対する情報探索

A. 視覚障害者の情報入手

近年,障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)の制定や改正を受けて,障害者の情報へのアクセスの保障に対する関心が高まっている。視覚障害については,視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律が2019年に施行されるなどの動きがある。しかし,実際には,視覚障害者の情報へのアクセスが保障されているとは言いがたい。なぜなら,情報提供者が視覚障害者への適切な保障の必要性を認識していない場合が多いからである。視覚障害はその見えかたの程度によって,全盲と弱視に分けられるものの,各人の見えかたの程度,経験,選好などにより,異なった手段で情報へアクセスしている。このことが,必要な保障を一般化することを困難にし,適切な保障の提供をより難しくしている。

視覚障害者の情報入手に焦点を当てた研究はいくつか存在する。たとえば,日本盲人会連合(現日本視覚障害者団体連合)による自治体の広報に関する研究では,行政が視覚障害者に対して行っている情報提供の実情を把握するため,約1,200名の視覚障害者と約1,800の自治体を対象とし,2015年に質問紙調査を実施している1)。その結果,自治体の,とくに市区町村が行う広報の半数で,視覚障害者のニーズにそぐわない形の情報提供が行われていることが明らかとなった。

また,2017年の八巻知香子らの調査は,障害のある人は障害のない人と比べて健康を損ねる危険性が高いことをふまえ,視覚障害者の健康医療情報の入手や,健康診断やがん検診の受診状況についての実態を把握することを目的に行われた2)。視覚障害者150名への質問紙調査の結果,健康医療情報の入手に困難がない視覚障害者であっても,医療機関での対応の不備などによって,実際の健康診断などの利用が制限されているという問題点が浮き彫りとなった。さらに,三輪眞木子らは2020年に,視覚障害者への有益な健康医療情報提供方法を見出すため,図書館でサービスを担当する視覚障害者4名の座談会を開催し,そこでの発話について内容分析を行っている3)。その結果,視覚障害者にとって望ましい健康医療情報の形態や公共図書館のあり方についての提案がなされた。

一方,海外に目を転じると,より一般的に日常生活の中で視覚障害者がどのように情報探索を行うかに注目した研究が多い。図書館における視覚障害者の情報探索の研究は,台湾のPo-Ya Changら4)やインドのNishat Fatimaら5),南アフリカ共和国のLungile Seyamaら6),米国のAdina Mulliken7)などによるものがあり,とくに大学図書館についての報告が数多い。

ひとつだけ具体例をあげれば,Lizette Kingらによる南アフリカ共和国のStellenbosch大学に在籍する視覚障害学生10名を対象とした質問紙調査がある8)。Kingらはその結果を分析し,日常的な情報探索行動で用いられる情報源は主にインターネットであり,大学図書館は電子資料を除いて,ほとんど利用されていないことを明らかにしている。

図書館という場所に限定しない,視覚障害者の日常の情報探索行動については,インターネットの役割に注目したオーストラリアのKirsty Williamsonら9)や,中国のSufang Wangら10)による研究がある。Wangらは中国障害者連合会を介して募集した23名およびマッサージ治療院に勤務する10名の視覚障害者を対象に,情報探索行動について質問紙調査あるいはインタビュー調査を行っている。その結果,調査対象者は毎日の生活に生じる厄介ごとを解消するための情報を必要とし,そのための情報源として家族や友人のほか,テレビやラジオ,インターネットを用いていることが明らかとなった10)。さらに,Nick Mooreは英国王立盲人協会の委託により調査を行い,視覚障害者の情報ニーズに関連した75の文献から,視覚障害者がとくに必要とする情報として8つのカテゴリを見出した11)

B. 視覚障害者が必要とする情報の8つのカテゴリ

本節では,Mooreによる8つのカテゴリについて説明する。Mooreの報告書では,視覚障害者の情報へのアクセスには不都合が生じやすいこと,その人びとが他の人びとと同じ水準で情報へアクセスするために,これから更なる研究が必要であり,そのための試みとして情報を,機能(Function),形式(Form),クラスタ(Clusters),行為者(Agents),利用者(Users),しくみ(Mechanisms)という6つの観点で分析したことが示されている11)。このうち,「クラスタ」は視覚障害者が何についての情報を必要としているかを指す。Mooreはクラスタとして8つのカテゴリを設定した。そのカテゴリとは,「目の病気,その治療(The condition, its treatment and likely outcome)」,「給付や給付金(Benefits and money)」,「一般的な健康(General health)」,「福祉用具(Aids and equipment)」,「住宅や居住施設(Housing and accommodation)」,「移動(Mobility)」,「サービスや施設(Services and facilities)」,「雇用や教育,訓練(Employment, education and training)」である。

視覚障害者の日常の情報探索行動を調査したWangらは,視覚障害者への健康および社会的な支援を提案する研究がこのMooreによる8つのカテゴリに基づき行われてきたことを指摘している10)。実際,Catherine Beverleyは視覚障害者を対象としたインタビュー調査と録音日記調査の両方から得られた知見を分析し,その結果を解釈するうえでMooreの視点は有用であると述べている12)。また,Beverleyらは,Mooreの8つのカテゴリが文献調査の結果として得られたものであるため,重要度による階層化はなされていないものの,カテゴリ名を修正した上で,研究協力者である視覚障害者の意見を統合すれば,これらのカテゴリは今後十分に発展しうると報告した13)

C. 研究目的

すでに述べたように,日本においても,視覚障害者の情報入手に関する調査がいくつか行われている。それらは当事者や支援者が情報入手の困難さを認識している特定のトピックについて,そこで生じる情報ニーズをいかに満たすべきかに焦点が当てられる傾向にある。そのトピックの例として,健康医療情報2, 3)や就職14)がある。また,日常生活の中の,とくに図書館などの特定の場所でいかに情報を入手するかに着目した調査も見られる。海外においても日本と同様の傾向が認められる。このような研究は重要であるものの,本研究ではより具体的な状況を設定するために,健康および社会的な支援に関する視覚障害者の情報ニーズを明らかにすることが必要であると考えた。そこで,Mooreの文献調査11)に依拠し,8つのカテゴリという観点から調査を行う。

すなわち,本研究の目的は,健康および社会的な支援に関する視覚障害者の情報ニーズやそれを満たすための情報源および情報探索の際に遭遇する困難を明らかにすることである。そのために,情報探索を積極的に実践していると考えられる視覚障害者に対してインタビューを試み,そこで得たデータについて質的な分析を行う。このような人びとを調査対象に選定したのは,情報探索の事例を整理することにより,視覚障害者が必要とする情報を入手するために有用な環境を整備する手がかりを得ることができると判断したからである。調査の枠組みとしては,前節で紹介したMooreによる8つのカテゴリを利用することとした。すでに述べたように,このカテゴリは健康および社会的な支援に関する視覚障害者の情報入手についての研究において一定の評価を得ており,その分析に有効であると考えたためである。

インタビューは構造化部分と半構造化部分とで構成した。まず構造化部分で協力者の属性や状況およびこの協力者たちが情報を入手するために日常的に利用する手段について尋ねた。一方,半構造化部分ではMooreによる8つのカテゴリを枠組みとして,健康および社会的な支援に関する情報ニーズやそれを満たすために利用する情報源,そして,情報源を利用する際に遭遇する困難について質問した。以上のインタビューを協力者の許可を得た上で録音し,そのトランスクリプトに対して内容分析を試みた。これらの詳細については,第II章で述べる。そして,第III章では,その結果について説明し,第IV章では結果に対する考察や今後の課題を論じる。

II. 視覚障害者の情報ニーズと情報源に関するインタビュー調査

A. 調査対象と調査方法

本研究の調査対象は,前述の通り,情報探索を積極的に実践していると考えられる視覚障害者である。具体的には,点字教室に参加し修了した者および視覚障害者支援施設職員等に調査協力を依頼した。前者は情報入手手段を増やすことを目的に自発的に点字教室に参加したことから,情報探索および情報入手に積極的であると考えられる。また,後者は職務上の必要から,日常的に最新の情報を探索し入手している。

最終的に,東京都内のある点字図書館が開催している点字教室の修了者2名,同点字図書館を含む視覚障害者支援施設職員15名,そのほか有職の同点字図書館利用者1名の合計18名の協力を得た。なお,本論文で視覚障害者支援施設は,視覚障害者の日常生活や社会生活を支援する施設を指す。たとえば,点字図書館のほか,同行援護や視覚障害者の就労支援を目的とした事業所や施設がそれに該当する。18名の協力者はいずれも視覚に障害があり,そのうち17名が全盲,1名が弱視であった。

インタビューは,電話(2名),対面(14名),ウェブ会議システムZoom(1名),電子メール(1名)で実施した(計18名)。このうち1名に対して電子メールを使ったのは,対面はもとより,電話やZoomでのインタビューが不可能であったためである。この場合には,インタビュー調査で用いた質問紙をテキストデータとして電子メールで送信した。電子メールでは各質問に対し,実際にインタビューを行った場合と同程度の分量の回答を得ることができた。

インタビューは2020年6月から同年7月までのあいだに実施した。インタビューに要した時間は,1名につき1時間前後であった。協力者の許可を得て,インタビューの内容を録音した。そのトランスクリプトを作成したのち,匿名化し,分析のためのデータとした。また,電子メールでの回答については,そこに書かれた内容をトランスクリプトと同様に扱うこととした。

なお,本調査に先立って,プリテストを視覚障害者1名に対して行い,構造化インタビューの質問項目の立て方や半構造化インタビューでの尋ね方を確認した。

B. インタビュー項目と分析方法

本研究では,前章で述べたように,構造化インタビューと半構造化インタビューとを併用して調査を行った。

1. 基本的な属性と状況

まず,構造化部分で,協力者の基本的な属性や状況を定型的な質問によって尋ねた。これは,情報ニーズやそれを満たすための情報源の選択に関わると考えられたためである。具体的には,現在の年齢や視覚に障害を受けた年齢(すなわち受障年齢),身体障害者手帳の等級,移動時の付き添いの必要性,就労の有無,同居家族の有無を質問した。これらは,質問紙調査におけるフェイスシート部分に相当するもので,視覚障害者の健康医療情報入手の現状を明らかにした八巻ら2)の調査で用いられた項目である。

2. 情報を入手するための日常的な手段

それに加え,構造化部分では情報を入手するために日常的に利用する手段について質問した。この選択肢については,八巻ら2)があげたもののほかに,「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」15)(以下,H28厚労省調査と記す)で用いられた項目を参考に設定した。具体的には,「点字媒体の図書や雑誌,新聞」,「音声DAISYなど録音媒体の図書や雑誌,新聞」,「墨字で書かれた図書や雑誌,新聞」,「パーソナルコンピュータ(以下,PCと記す)」,「携帯電話」,「スマートフォン」,「タブレット端末」,「ファクシミリ」,「テレビ」,「ラジオ」,「家族・友人・介助者」の計11項目である。これは『日本人の情報行動』16)に情報源として示された項目に加え,視覚障害者が利用すると考えられる「点字媒体」や「録音媒体」の利用を尋ねることを意図した結果である。インタビューでは,質問ごとにそれぞれの選択肢を逐次読み上げ,「使う」,「使わない」のどちらかを回答してもらった。

3. Mooreによる8つのカテゴリごとの情報ニーズ,情報源,遭遇する困難

半構造化部分での質問項目の設定には,視覚障害者が必要とする健康および社会的な支援に関する情報について,Mooreによる8つのカテゴリを枠組みとして用いた。インタビューガイドを第1表に示す。まず,第I章B節で掲げた各カテゴリでの情報ニーズの有無を尋ねた。具体的には,そのカテゴリに関する情報について知りたいと感じることはあるか,つまり,そのカテゴリに関する情報ニーズがあるかを質問した。次に,情報ニーズがあると回答した場合にのみ,その内容とそれを満たすために利用する情報源およびその際に生じる不便や遭遇する困難について回答を求めた。8つのカテゴリのそれぞれでこの質問手順を繰り返し,その後,「必要であるにもかかわらず得ることができていないと感じている情報」について自由に述べてもらった。

第1表 半構造化インタビューガイド
質問項目実際の質問例
半構造化部分情報ニーズそのカテゴリについて,知りたいと感じることはあるか
知りたいと感じたことがある場合,それはどのようなことか
情報源それに関する情報をどのようなところから得ようとするか
困難情報を得る際の困難や不便はあるか
その困難や不便の内容は具体的にどのようなものか
自由回答必要であるにもかかわらず得ることができていないと感じている情報はあるか

なお,あるカテゴリにおいて「情報ニーズがない」と回答した協力者が,明示的にではないものの,そのカテゴリに関する情報ニーズと考えられる言及をインタビューの中で行った場合,内容を吟味した上で,その協力者の回答を「情報ニーズあり」へ割りつけた。

4. インタビュー内容の分析方法

以上のインタビューの内容の分析は,KJ法17)を参考に,カテゴリごとに以下の手順で行った。まず,協力者の回答や発言のひとつひとつを,20~30文字の短文でまとめた。そして,それぞれの短文が示す内容と類似した内容をもつ他の短文を探し,それらをグループ化した上で,各グループにその特徴を簡明に示すラベルを与えた。このラベルはその情報ニーズを明示するように設定した。

第III章B節では,Mooreによるカテゴリごとに,付与したラベルとともに協力者の実際の回答や発言を引用しながらインタビューの結果を述べていく。その際,グループに付与したラベルを示す際には鉤カッコ(「 」)を用いる。また,第III章以降,インタビュー中の回答者の実際の発言はダブルクオーテーション(“ ”)で囲み,発言の末尾に半角カッコ(( ))でその回答者のIDを示す。説明の都合上,インタビュー中の文脈から調査者が補うべきと判断し,記したことがらについては角カッコ([ ])で括った。

III. 視覚障害者の情報ニーズと情報源に関するインタビュー調査の結果

A. 調査協力者の基本的な属性と状況

まず,調査協力者の基本的なことがらについて,構造化部分で行った定型的な質問に沿って,概要を述べる。協力者は全部で18名であり,年齢は40代がもっとも多かった。協力者の属性や状況の詳細を第2表に示す。先天性の視覚障害と目される協力者が13名,後天性の視覚障害と目される協力者が5名であった。先天性の協力者は,盲学校(現在の特別支援学校)もしくは通級で教育を受けていた。なお,通級とは,普通学級に在籍しながら必要に応じて盲学校へ通うことを指す18)。また,後天性の協力者も全員が盲学校での教育,あるいは視覚障害者支援に特化した施設での教育訓練を受けたと回答した。

第2表 調査協力者の属性と状況
ID現在の年齢受障年齢受障年代手帳等級性別移動時の支援就労の有無同居家族の有無同居家族の目の状態
A70代10代1960年代1級女性不要無職あり晴眼
B60代40代2000年代2級女性不慣れな場所へ行くときは必要無職なし
C60代00代1950年代1級男性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼
D70代20代1970年代1級男性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼
E40代10代1990年代1級男性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり視覚障害, 晴眼
F60代00代1950年代1級女性不要有職なし
G30代00代1980年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり視覚障害,晴眼
H50代10代1970年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼
I40代00代1970年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職なし
J40代00代1970年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり視覚障害, 晴眼
K50代00代1960年代2級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼
L60代00代1960年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼
M40代00代1970年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼
N40代00代1970年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼
O60代00代1960年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼
P40代00代1970年代1級女性不要有職あり視覚障害
Q40代00代1970年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり視覚障害
R30代00代1980年代1級女性不慣れな場所へ行くときは必要有職あり晴眼

身体障害者手帳の等級は18名中16名が1級,2名が2級であった。H28厚労省調査では,身体障害者手帳をもつ視覚障害者の数は日本に約31.2万人とされている。同調査の対象者はその半数が70代以上であり,等級については,2級から6級の延べ人数が1級の人数のおよそ2倍であることから,本研究とは年齢等を含め調査対象が異なっていることになる。

本調査の協力者の外出時の支援については,18名中15名が「不慣れな場所へ行くときは必要」,残りの3名は「不要」と回答した。前者からは“慣れているところだったら,あとはいつも行くところとか,職場とかだったら,自分で行けるように練習して,単独で行けます(G)”,後者からは“不慣れな場所は支援があったほうが心強い(P)”ものの,“基本的にはひとりで[どこへでも]行っています(F)”という発言があった。不慣れな場所へ行くときに必要とする具体的な支援として「晴眼の家族や友人」,「ガイドヘルパー(移動支援従業者あるいは同行援護従業者)」があげられた。支援を利用できる時間数に上限がある場合には,“ガイドヘルパーさんとも家からじゃなくて,現地の最寄り駅で会うようにして,ちょっと[利用]時間を節約(N)”するために,設定した待ち合わせ場所まではひとりで外出することもあると述べた協力者もあった。

就労については,有職者が16名で,かつて就労していたものの調査時点では無職である協力者が2名であった。就労の有無について尋ねたのは,就労している場合,職場の人間関係や職場で利用している機器などが情報源や情報入手手段として日常的に用いられる可能性があると考えたためである。

同居家族の有無についての質問では,15名が「同居家族あり」,3名が「同居家族なし」と回答した。「同居家族あり」と回答した協力者のうち,同居家族の中に晴眼者がいる者は13名であった。同居家族がいる場合,その家族は情報源のひとつとなる可能性が高い。また,その家族が晴眼者の場合,日常的に代読が依頼されること,つまり墨字で表された情報へアクセスするための手段となることが,日本盲人会連合の調査で報告されている19)

B. 情報を入手するために日常的に利用する手段

次に,協力者が情報を入手するために日常的に利用する手段について述べる。第3表に協力者18名の回答を示す。協力者全員があげたのは「家族・友人・介助者」であった。それに「点字媒体」,「テレビ」,「ラジオ」,「PC」が続いた。

第3表 情報入手のために利用する日常的な手段
ID点字媒体録音媒体墨字媒体PC携帯電話スマートフォンタブレット端末ファクシミリテレビラジオ家族・友人・介助者
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L
M
N
O
P
Q
R
16911441220151518
注:○は「利用する」の意

H28厚労省調査の結果では,視覚障害者が日常的に利用する手段は,多いものから順に「テレビ」,「家族・友人・介助者」,「ラジオ」であった。「点字媒体」,「PC」を除いて,日常的に利用される情報入手手段は本調査の協力者とほぼ一致している。本調査の協力者の「点字媒体」および「PC」の利用割合は,H28厚労省調査の視覚障害者一般が示した割合よりも高かった。「スマートフォン」,「携帯電話」といった携帯型端末についても,H28厚労省調査で示された3割という利用割合に対し,本研究の協力者は18名のうち16名がいずれかの端末を所持し,日常的な情報入手手段として用いていた。

また,H28厚労省調査では「点字媒体」と「録音媒体」はそれぞれ,情報入手手段として1割の人びとに利用されていた。一方,本調査では「点字媒体」を協力者のほとんどが積極的に,「録音媒体」は協力者の半数が日常的に,情報を入手するための手段として利用すると回答した。また,「録音媒体」を日常的には利用しないと述べた協力者のうち,過半数は必要に応じて利用すると説明した。

このように,今回の協力者全員は,情報を入手するために必要な手段を豊富にもつ人びとであった。たとえば,その手段には,点字を読むこと,DAISYで作成された録音図書の利用,PCやスマートフォンでのインターネットの使用がある。とくに,18名の協力者のうち,15名は視覚障害者支援施設の職員であり,視覚障害者を支援する立場であることから,さまざまな情報入手手段に通じているものと考えられる。また,残りの3名のうち2名は点字教室を修了し,もう1名は幼少期から点字図書館を利用し,いずれの協力者も現在にわたって点字図書館を利用している。これらのことから,今回の調査協力者18名はいずれもH28厚労省調査で示された視覚障害者の一般的な傾向とは異なっているといえる。そのため,本調査の結果を先行研究と比較する際には注意が必要である。

以下,手段ごとに回答の詳細を示す。

1. 点字媒体の図書や雑誌,新聞

本研究の協力者のうち,日常的に「点字媒体の図書や雑誌,新聞」を利用すると回答したのは18名中16名であった。残りの2名は利用しないと回答したものの,今回の協力者18名全員は,人生で点字を学ぶ機会があったと説明した。一方,H28厚労省調査において点字媒体を日常的に利用すると回答したのは視覚障害者の8%であった。H28厚労省調査に比べて本調査での点字媒体利用者の割合が極端に高くなったのは,今回の協力者の点字学習経験が理由であると推測される。

なお,日常的に点字媒体の情報を利用すると回答したこの16名のうち5名は,“点字の方が頭に入るし,読み飛ばしとかも点字の方ができるので(J)”,点字媒体を好んで利用すると述べた。一方,点字媒体の情報を日常的に利用しないと回答した2名は,“漢字も確認できるし,コピーペーストもできるし,テキストデータでもらえるのがいちばんいい(E)”と説明した。この2名は“最近どこで点字読んだかって,エレベーターの階数読む,それと,[居住自治体XY(仮名)の]役所から来た封筒にXYって書いてあったから,あ,XY[から]だって思ったくらい(G)”という回答に示されるように,点字を読むスキルは習得しているものの,点字媒体での情報利用には消極的な様子であった。

2. 音声DAISYなど録音媒体の図書や雑誌,新聞

本研究の協力者のうち,日常的に「音声DAISYなど録音媒体の図書や雑誌,新聞」を利用すると回答したのは18名中9名であった。録音媒体には,図書のほか,即時性がより重視される雑誌や自治体広報,官庁が発行する白書などがある。録音媒体を日常的には利用しないと回答した残りの9名の中には,“どうしても録音[媒体]しかない(F)”場合,たとえば“[居住自治体の広報が音声]DAISY[版]だけなんです(N)”という場合にのみ,録音媒体を利用する協力者が6名いた。他方,録音媒体をまったく利用しないと回答した3名からは,“[録音媒体を利用すると]10分で寝ちゃう(J)”ため,肝心の情報が得られなくなることから利用していないという言及もなされた。また,“[録音媒体は]読み手の癖,個性[が出るので],であれば,ある意味テキストデータの方が声は同じなので,当たり外れは少ないというか,そのばらつきは狭められるのではないかなと思います(E)”という意見もあった。なお,H28厚労省調査では録音媒体を日常的に利用すると回答した視覚障害者は11%に留まった。

点字媒体や録音媒体について,本研究の協力者18名中16名は日常的にこれらのいずれか,もしくは両方を,情報を入手するために利用している。H28厚労省調査の結果との乖離が生じた理由として,いずれの協力者も盲学校あるいは視覚障害に特化した教育訓練施設に通った経験をもつことがあげられる。また,協力者18名のうち16名が就労しており,その中には点字図書や録音図書の製作や校正に携わっている者もあった。このことも,こうした媒体の利用率の高さの理由となっていると推測される。

3. 墨字で書かれた図書や雑誌,新聞

本研究の協力者のうち,18名中1名が日常的に「墨字で書かれた図書や雑誌,新聞」の情報を利用すると回答した。この協力者は弱視であり,身体障害者手帳等級は2級であった。“拡大読書器でやっと,2文字3文字ぐらいは確認できる[ものの],文章としてはなかなか困難で,重要な書類なんかを[拡大読書器で]ちょこっと見るくらい。あとは音声のもの[すなわち録音媒体など]ですべて[アクセスしている](B)”と述べた。墨字を利用しないと回答した残りの17名は同手帳等級1級もしくはそれ相当の視力であり,協力者の言葉を借りると,“直接目で,墨字を目視するということは当然できません(C)”という視力である。

一方,H28厚労省調査では視覚障害者の16%が日常的に墨字を利用すると回答した。H28厚労省調査は,第III章A節で述べたように,調査対象者における身体障害者手帳等級2級から6級の延べ人数が1級の人数のおよそ2倍であり,墨字を利用できるとされる人の割合が本調査よりも多かったため,墨字利用者の割合が本調査と大きく異なったと考えられる。

4. PC・携帯電話・スマートフォン・タブレット端末
a. PC

本研究の協力者のうち,日常的に「PC」を利用して情報を入手すると回答したのは18名中14名であった。なお,H28厚労省調査では視覚障害者の10%が日常的に利用すると回答していた。今回のインタビューでは,日常的にではないものの,職場や所属団体の活動のために利用していると回答した協力者を含めると,協力者全員がPC利用経験をもっていた。

日常的にはPCを利用しないと回答した4名のうち,3名は職場でのみPCを利用していた。この3名と残りの1名は,スマートフォンや携帯電話等を日常的な情報入手手段として利用していた。中には,“家の中の情報[の]8割ぐらいはアレクサから[得ている](J)”とスマートスピーカーの利用について言及する協力者もいた。しかし,日常的にPCを利用していない理由として,“ホームページが大きすぎて,全体がつかめなくて,今自分がどこにいるかなっていうのがわからなくて,なかなか[必要な情報に]たどり着けないみたいなのはあるし,ほんとに時間がゆっくり取れるときに[PCでの検索を]ちゃんとやらなきゃいけないですけど,そうも言っていられないので,断念してしまうこともある(L)”と語った協力者もあった。これはウェブページのアクセシビリティが不十分であることが原因と推測される。

職場でもPCを利用しないと回答した1名は,“昔パソコンがワープロみたいに使えた頃には,普通の文字[すなわち墨字]で文字通信[紙]を出してたんですけど,最近パソコン[から]ちょっと離れちゃって,[手元に]あるにはあるんですけど使ってなくて(F)”と述べた。

b. 携帯電話

本研究の協力者のうち,日常的に「携帯電話」を利用して情報を得ると回答したのは18名中4名であった。このうち2名がNTTドコモの「らくらくホン」というフィーチャーフォンを利用していた。残りの2名は「らくらくホン」のシリーズのひとつ,携帯電話とスマートフォンの特徴を兼ね備えた「らくらくスマートフォン」を利用していると回答した。一方,H28厚労省調査では,視覚障害者の23%が携帯電話を日常的に利用していた。

「らくらくホン」から「らくらくスマートフォン」へ機種変更をした協力者からは“[らくらくホンは]読み上げをしっかりしてくれていたので,[機種変更して]ちょっと不便になってしまったところがあって(M)”という意見が聞かれた。なお,本研究では,「らくらくスマートフォン」はスマートフォンという名称であるものの,その機能的特徴から携帯電話とみなした。

c. スマートフォン・タブレット端末

本研究の協力者のうち,18名中12名が日常的に「スマートフォン」で情報を入手すると回答した。この12名のうち,「タブレット端末」を日常的に併用していたのは2名であった。スマートフォンについては,12名中10名が明示的に米国Apple社の「iPhone」を,タブレット端末については,2名とも同社の「iPad」を利用していた。これに対し,H28厚労省調査は「スマートフォン」と「タブレット端末」を合わせてひとつの選択肢としており,そこでは視覚障害者の8%がそれらを利用して日常的に情報を入手すると回答していた。

スマートフォンやタブレット端末の利用に際し,協力者は“iPhoneのボイスオーバーの機能を使って,メールとかLINEとか,いろんなSNSなんかも音声で聞いています(B)”と述べ,それらの機種に標準搭載されたアクセシビリティ支援機能を用いていることを示した。また,COVID-19感染拡大以前,Apple社は視覚障害者のためのiPhone講座を定期的に開催しており,iPhoneを所持していると回答した協力者の中には,この講座を受けたことで長年の趣味をより楽しむことができるようになったと述べた者もあった。

なお,18名中2名の協力者が職場や自宅でPCのみを利用するため,携帯電話やスマートフォンなどの携帯型端末を所持していないと回答した。

5. ファクシミリ

「ファクシミリ」は,墨字で読み書きすることが前提の機器であり,本研究の協力者の中でこれを利用できるのは,墨字で書かれた図書や雑誌,新聞を利用すると回答した1名である。この協力者が日常的にではないものの,必要に応じてファクシミリを利用すると述べた。H28厚労省調査では,日常的な情報入手手段としてファクシミリを利用しているのは視覚障害者の1%であった。

2020年に実施された情報通信機器保有状況の調査結果によると,ファクシミリを保有している世帯は33.6%である20)。ファクシミリにはインターネット接続がなくても電話番号を入力するだけで文書を送信できる,あるいは文書作成ソフトなどを利用することなく手書きで情報のやりとりができるなどの利点がある。そのような利点を重視する人びとと通信を行う際には,ファクシミリを利用せねばならない場面もあるということが協力者の回答に表れていた。

6. テレビ・ラジオ
a. テレビ

本研究の協力者のうち,日常的に「テレビ」を情報入手手段として利用すると回答したのは18名中15名であり,残り3名は利用しないと回答した。H28厚労省調査では視覚障害者の64%が情報を入手するための手段として日常的にテレビを利用していた。テレビの利用については,“[テレビは]大好きです。テレビ自体がかかっていることが好きです(O)”と述べた協力者や,“ずうっと家[で]は家族が[テレビを]つけているので,ずっとついています(N)”,“見る時間はだいぶ減ったんですけど,なるべくニュースは,朝晩かけるように[している](J)”と語った協力者がおり,その利用の積極性はさまざまであることが見て取れた。

一方,利用しないと答えた協力者からは,“見たいと思う,聞きたいと思うコンテンツがあまりないので,だんだんに見なくなりました(C)”という回答があった。そのほか,“テレビが見られるアプリをいくつか[スマートフォン等に]入れているので,そういったものを必要なときに見るという感じです(E)”と説明した協力者もいた。

b. ラジオ

本研究の協力者のうち,日常的に「ラジオ」を利用すると回答したのは18名中15名であり,残りの3名は日常的にではないものの,ときどき利用すると述べた。なお,H28厚労省調査では,視覚障害者の41%が日常的な情報入手手段としてラジオを利用していた。

日常的にラジオを利用する協力者15名のうち,5名がラジオ受信機を,1名がスマートフォンのラジオアプリを,7名がその両方を,2名がスマートスピーカーを用いていた。ラジオを日常的に利用する理由として,“[お気に入りの番組は]きちんとした,まっすぐな話し方をしてくれますのでね,政治の話にしても,病気の話にしても何にしても,この人の言うことだったらちゃんと聞けて自分でも取り入れられるなあって思うから(A)”,“テレビで『ご覧の通りです』って言われちゃうとか,ご覧の通りって言われると[その内容がわからない]。だからラジオの方がわかりやすいってことはあります(D)”という意見が聞かれた。なお,ときどきラジオを利用する残りの3名はそれぞれ,ラジオ受信機,スマートスピーカー,ポッドキャストを使っていた。

7. 家族・友人・介助者

本研究の協力者の18名全員が,日常的に「家族・友人・介助者」を情報入手手段として利用していると回答した。一方,H28厚労省調査においては,視覚障害者の56%が日常的に情報を入手するための手段として家族・友人・介助者を用いていた。

その一例として,友人や介助者からの口コミの重要性を述べた協力者があった。たとえば,ある協力者は,旅行の際に必要な支援を得るために“[インターネットだけで]たどり着くのはなかなかしんどいと思う(L)”ので,口コミが重要であると説明した。また,他の協力者からも“地元の人が多いんですよね,ヘルパーさん。生活圏内とか一緒だから,この辺だとどこかいい小児科ありますかとか,内科どこにありますかとか,歯医者とか,それは,ヘルパーさんだったりママ友だったりに聞くことはありますね(G)”のように,身近な人からの口コミを利用して,知りたい情報を得るという言及が複数なされた。

なお,「家族・友人・介助者」についての回答には,視覚障害者がその人びとを墨字の代読の手段として利用することを含んでいる。

8. その他の情報入手手段

自由回答として,頼りにしている情報入手手段について尋ねたところ,「点字図書館」や「メーリングリスト」,「サピエ図書館」が上位にあげられた。ほかにも「公共図書館の対面朗読」,「居住自治体の広報」,「居住自治体にある視覚障害者福祉協会」,「文字情報サービス」,ソーシャルネットワーキングサービスの「Twitter」や「Facebook」という回答があった。

「メーリングリスト」という回答は,協力者18名のうち11名から得られた。“メールは仕事上もプライベートも,メーリングリストに入ったりとか,情報を得るのに一番必要だと思うものですね(D)”,“視覚障害のメーリングリストとかね,そういったところで『これどうしてます?』みたいな話って,ちょっと役に立つかなあ。特殊な情報[が必要]になると,やっぱり個人とかより専門性の[高い],密度の濃いようなコミュニティ[を利用する] (E)”という回答が聞かれた。2021年に開催された視覚障害者による意見交換の場でも,視覚障害者が情報入手のためにメーリングリストを利用する割合が高いことが示されており21),それが今回の協力者にも当てはまっていた。

「サピエ図書館」と回答した協力者は18名中10名いた。“[サピエ図書館のなかった頃は墨字の]本を買ったら [晴眼者に]ざっと[声に出して]読んでもらって,全部点訳なり音訳なりしていただくか,必要なところだけ読んでもらうか決めたりしていたんです。[今は]比較的早く,話題の本とかもサピエ図書館で読んだり聞いたりできるようになったので(I)”利用していると回答した協力者があった。また,サピエ図書館には“毎日[新着完成情報が]アップされるので,そこで今日は何があるかなって[確認する]。大体30タイトル,40タイトルとかそのくらいあるもので,それで必要なものだけピックアップしてダウンロードしてとっておく(D)”という利用もなされていた。本調査の協力者は,サピエ図書館にある図書や雑誌を音声DAISYやテキストDAISY,点字データなど,各自の好みの表現形式でダウンロードし,PCやスマートフォン,点字ディスプレイで利用していた。

「公共図書館の対面朗読」については,現在頼りにしていると回答した協力者は18名中2名であった。“調べたいものとか,図書館で[対面で]聞いて,やるとやりやすい(D)”,“利用し始めて,ものすごく助かっている(F)”という意見が聞かれた。一方,かつては頻繁に利用していたものの,現在はまったく使っていないと回答した協力者が18名中8名いた。そのうちのひとりは“[当時利用していた公共図書館は]当事者の職員の方もいらっしゃって,障害者サービスが非常に充実して使いやすかった(E)”ため,さまざまな資料の朗読を依頼するなど“柔軟に使わせてもらって(E)”いたと述べた。しかし,転居により利用できなくなったと説明した。また,“今は行く時間がないので行っていない(N)”という回答や,“文字情報サービスに行っています。それが今,公立図書館に行く代わりになっているのかな(P)”という回答も聞かれた。なお,「文字情報サービス」とは,1984年に東京都障害者福祉会館に設置された文字情報センターが始めたサービスで,現在の視覚障害者日常生活情報点訳等サービスを指す。公共図書館の対面朗読は,居住地域によってはその実施日時が限られている場合もあり,そのことがサービス利用の妨げとなっている可能性がある。

9. まとめ

以上の分析から,今回の協力者は,H28厚労省調査で視覚障害者が多く利用することが示された「テレビ」や「家族・友人・介助者」,「ラジオ」に加え,「点字媒体」または「録音媒体」を用いて日常的に情報を入手していることが明らかになった。さらに,「PC」や「スマートフォン」などのICT機器を,年代に関係なく,情報入手手段として日常的に利用していた。このように,今回の協力者が情報を入手するための手段を豊富にもつ人びとであることは,本節の冒頭で述べたように協力者の経験や属性によるところが大きい。これはH28厚労省調査における視覚障害者の日常的な情報入手手段の傾向とは異なっている。

C. カテゴリごとの情報ニーズとそれを満たすための情報源

第II章で述べたように,半構造化インタビューは,視覚障害者が必要とする健康および社会的な支援に関する情報について,Mooreによる8つのカテゴリごとに,その報告書11)に提示された順で進めた。具体的には,「目の病気,その治療」,「給付や給付金」,「一般的な健康」,「福祉用具」,「住宅や居住施設」,「移動」,「サービスや施設」,「雇用や教育,訓練」の順である。この節では,情報ニーズの有無を概観したのち,カテゴリ順に,インタビューでの回答や発言に対する分析結果を述べていく。

1. 情報ニーズの有無

半構造化インタビューにより明らかとなった,Mooreのカテゴリにおける情報ニーズの有無は第4表の通りである。その中で,情報ニーズが生じるとの回答がもっとも多かったカテゴリは,「移動」であった。次に同数で「給付や給付金」,「一般的な健康情報」,「福祉用具」が続き,さらに「サービスや施設」,「住宅や居住施設」,「雇用や教育,訓練」,最後に「目の病気,その治療」の順となった。

第4表 情報ニーズの有無
Noカテゴリ情報ニーズ
ありなし
1目の病気,その治療51318
2給付や給付金14418
3一般的な健康情報14418
4福祉用具14418
5住宅や居住施設11718
6移動16218
7サービスや施設12618
8雇用や教育,訓練10818
2. カテゴリごとの情報ニーズ,情報源,遭遇する困難
a. 目の病気,その治療

「目の病気,その治療」のカテゴリは,今回の調査でもっとも情報ニーズが少なかった。“失明して,それ以後回復の見込みはありませんでしたので,もう,それ以降あんまり,強い関心はもっていません(C)”に代表される回答が多くを占め,情報ニーズに関する言及はわずかであった。

その中で言及された情報ニーズには「自身の目の病気に関する一般的な知識」,「自身の視覚障害の原因となった病気の治療法」があった。前者の情報ニーズを満たすには,テレビやラジオ,新聞という情報源が用いられていた。後者の「自身の視覚障害の原因となった病気の治療法」については,インターネットの検索エンジンを利用する協力者があった一方,医師の診断を仰ぐと回答した協力者もあった。その協力者は“遺伝するかどうかとか,目のことは眼科で調べたいなと。あんまり[インター]ネットで[調べる]とかは,自分の症状と合う,合わないっていうのはよくわからないので,医者に診てもらえるといいなとは思っています(N)”と述べた。

このカテゴリでは情報ニーズを満たす際の困難がほとんど聞かれなかった。情報ニーズがあると回答した協力者のひとりは“[情報を得ることに]消極的っていうわけでもないんですけど,積極的というほどでもないので,[情報が]あったらっていう感じです(M)”と述べた。この発言が示す通り,協力者はこのカテゴリの情報を,日常的に利用している情報入手手段を用いて探す一方で,積極的には求めない傾向があるため,困難についての言及が少なかったと考えられる。

b. 給付や給付金

「給付や給付金」のカテゴリで生じる情報ニーズは「給付を受けるための情報」,「給付制度への一般的な関心」であった。前者の情報ニーズを満たすために,居住自治体の役所窓口やそのウェブページが利用されていた。前者を利用する理由として“[役所窓口の]福祉課がいいって言わないと給付されないから(K)”という回答がいくつか聞かれた。この情報ニーズを満たす際に遭遇する困難として,“ホームページにしてもちょっとわかりにくく,で,詳しいことを電話で問い合わせると,役所の人も詳しい人は詳しいけれど,詳しくない人の方が多いような気がする(Q)”に類似した回答が複数あった。

また,「給付制度への一般的な関心」という情報ニーズを満たすためには,インターネットの検索エンジンが多く利用されていた。これについて,とくに自治体の作成するウェブページがヒットした場合に,“[音声ブラウザ未対応の]PDFは困る(P)”という声が聞かれた。

c. 一般的な健康情報

「一般的な健康情報」のカテゴリには情報ニーズが2つあった。ひとつは「日常的な健康管理方法」である。これを満たすための情報源として,多い順に,インターネットの検索エンジン,サピエ図書館,テレビがあげられた。ある協力者はインターネットの検索エンジンを用いる理由を“今だと早いっていうことと最新の情報ということで,知りたいことはたとえば[インター]ネット[で探すこと]になるかなと思うので(H)”と回答した。サピエ図書館をあげた協力者は“闇雲にインターネットで検索してずっと見ていくよりも(I)”,“サピエ図書館でそれらしい本をダウンロードしてざっと読んでいった方が早いような気がします(I)”と説明した。また,テレビと回答した協力者は“世の中の流れ的に,大雑把に広くたくさん情報を流しているので(Q)”,新たな知識を得ることができ,“もうちょっと詳しく知りたいなと思えば[他の手段で]調べたり[できる](Q)”と述べた。

この情報ニーズを満たす際に遭遇する困難として,インターネットの検索エンジンを利用すると回答した協力者は,“けっこう健康系[の情報]って文字じゃわからないことが多い(E)”と述べた。また,サピエ図書館では“運動の仕方みたいなのは,図とか写真なんかで説明なので,説明がいまいち足りなくてよくわからない(Q)”,テレビでは“体操とかやってると,どういう動きなのか具体的にわからない(O)”といった意見があった。つまり,この情報ニーズにおいては,図や写真,動画などを中心として表現され,言語による説明が不十分な情報の多いことによる困難がみられた。

もうひとつの情報ニーズは「健康診断結果の把握」であった。これについては,“健康診断の結果や薬の説明等が墨字のものしかないため自分で確認できない(R)”という困難が多数指摘された。また,墨字資料の取り扱いの難しさから,“結局その活字の[健康診断]結果をどうやって管理していったらいいのか(I)”と悩みを語った協力者もいた。これらの困難の解消のために,健康診断結果が“点字でわかるといい(N)”,“[テキスト]データなりなんなりで見れてもいい(E)”という要望があげられた。実際には,“家族に見てもらう(N)”,“文字情報サービスの方にお世話になっています(P)”など,晴眼者を通して把握しているという回答があった。それに対し,“既往歴とか含めてね,やっぱり,人を介するとちょっとやだなと思うところありますけどね(E)”と他者の目を介在させることへの懸念も聞かれた。

d. 福祉用具

「福祉用具」のカテゴリでは「日常生活用具の製品情報」と「日常生活用具以外の製品情報」に関する情報ニーズを聞き取ることができた。なお,日常生活用具とは,障害のある人びとの日常生活における困難を改善すると国が認めた福祉用具のことであり22),特定の取り扱い拠点,たとえば点字図書館の用具販売部門などで購入することができるものを指す。このような拠点は用具の販売だけではなく,それについての情報提供も行っている。

「日常生活用具の製品情報」の情報ニーズを満たすためにもっとも多く利用される情報源は,点字図書館の用具販売部門であった。ただし,この回答をした者の全員が,用具販売部門をもつ点字図書館の職員であったことには注意が必要である。なお,これに関連して,「福祉用具」のカテゴリでの情報ニーズはないとした協力者から“[前出の部門が発行するメールマガジンで]新しい製品の紹介を聞いたりとかします(D)”という発言があり,その情報を無意識的に得ている様子がうかがえた。ほかに,日常生活用具製造元のウェブページを情報源とする協力者があった。この協力者が“視覚障害者向けのものだから,視覚障害者に売りたいから[音声ブラウザに対応するようにできており],割とそんなに困ってはないですかね(N)”と回答したように,この情報ニーズを満たす際の困難はほとんど聞かれなかった。

一方,「日常生活用具以外の製品情報」については,“スマートフォンと連動できる機器はまだ日常生活用具になっていないから,Twitterで調べたり,インターネットとか,周囲の人に聞いたりする(I)”という回答が数件あった。このことから,日常生活用具の取り扱い拠点で販売の対象となっていない製品の情報は独力で探索する現状が推測された。

e. 住宅や居住施設

「住宅や居住施設」のカテゴリでは「不動産の賃貸や購入」についての情報ニーズが示された。この情報ニーズを満たす情報源として,住宅情報サイトや不動産仲介業者が多く利用されていた。住宅情報サイトを情報源とする際には,“間取り図が見えない(J)”,“部屋の様子とかは写真になっちゃうのでわからない[の]と,場所が具体的にイメージしづらい(Q)”など,図や写真で表現され,言語による説明が不十分な情報の多いことが困難として示された。協力者はこの困難について,“自分で探すのは不可能で,[晴眼の]家族に探してもらいます(K)”,“[晴眼の]家族に来てもらって,いくつか[物件を]ピックアップして,そこに一緒に来てもらう(J)”,“晴眼者のお友達に具体的に[住宅情報サイトの]ホームページとか見てもらって教えてもらう(Q)”などの対処をしていた。

しかし中には,“[物件を]いいなと思っても,大家さんに『いや,目が見えないと火事を出すから困る』って言われたり(O)”,“[インター]ネットでその[物件]情報は得られるんですけど,その情報を得たとしても,実際不動産屋に行くと,そのときにいちばん『全盲ですか,ああ』みたいな感じの空気というのはよく感じてきてますしね,粘り強く探すしかないんですけどね(E)”と,障害を理由に入居を断られた経験について述べた協力者も複数あった。これは「不動産の賃貸や購入」という情報ニーズの誘因となった問題を解決しようとする際に生じる困難である。一般的には入居差別についての多くの事例が存在する23)。協力者の多くはこの困難を解消するために,過去に不動産の賃貸や購入を経験した,視覚に障害のある友人や知人を情報源として利用していた。このように回答した協力者のひとりは“あの業者さんとか,この店のあの人に聞いてみたら割と話聞いてくれるよ,みたいな視覚障害[者同士]の口コミというのは重要(E)”と述べた。

f. 移動

カテゴリ「移動」については,プリテストの結果,協力者によって想起される状況がさまざまであり,回答を集約しにくくなる可能性の高いことが予想された。そこで,あらかじめ公共交通機関での移動という特定の状況を設定した上で質問を行った。その結果,「移動」のカテゴリでは「乗換案内や時刻表」,「駅の構造」,「周囲の状況」という情報ニーズがあげられた。

前者2つの情報ニーズを満たす情報源として乗換案内アプリやサイト,駅員が利用されていた。その典型的な利用理由は,乗換案内アプリやサイトは“だいたい[音声ブラウザでその内容を]読んではくれる(I)”,“[インター]ネットで完結できちゃう(E)”であった。駅員については,“乗換とかが増えると,駅員さんに誘導を頼みます。[検索結果を見せて]『この電車に乗りたいんですけど,これで誘導してもらえますか』って言ったらぱぱっと連絡してくれて,ぴっと目的の電車に乗せてくれて。東京の地下鉄[の駅員]はすごい親切です。誘導に慣れてる(G)”,“バリアフリー法っていうとてもありがたい法律ができて,駅で[電車に]乗る前に駅員さんにお願いすると,あちこちで,バケツリレーのように案内してくださる(O)”という肯定的な回答が多かった。なお,バリアフリー法とは2006年に公布された「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の略称である。

このカテゴリで情報ニーズを満たす際に遭遇する困難として,乗換案内アプリやサイトの利用時に必ず表示される広告についての指摘があった。具体的には“正確に読み上げられていても,自分にとって全然関係ない,必要でない情報とかも拾ってしまうので,そこから[必要な情報に]たどり着くまでの時間的な障害というか(H)”と述べた協力者が複数いた。一方,“感覚的に[広告を]これくらい飛ばせばいいかなと,どんどん飛ばしている(J)”と回答した協力者もあった。そのほか,“[乗換案内アプリは]ダウンロードするときにパスワードとかいろいろ入れなきゃ[いけない]でしょ。それがちょっと面倒。[晴眼者に]やってもらったり(D)”と,アプリをインストールするまでの手順の煩雑さに困難を感じている協力者もいた。

「周囲の状況」についての情報ニーズを満たすためには,移動中に遭遇する晴眼者を情報源とするという回答が多くあった。“[ひとりで外出するときには]周りの人が助けてくれます,サポートしてくれます(A)”,“とりあえず人がいそうだなってお店とか見つけたり,[公共の]会館みたいな何かを見つけたりして,ここはどこですかって言って,入っていっちゃいます。たぶん普通の家には入っていく勇気はないんだけど(F)”という意見があった。しかし,“すみません,と叫んでも,はい,と来てくれる人はそうそういないです(O)”と,移動に際し人の助けを得にくいという困難に関する言及もなされた。

g. サービスや施設

「サービスや施設」のカテゴリで生じる情報ニーズは「障害福祉サービス」,「公的施設」,「商業施設」についてのものであった。「障害福祉サービス」には,同行援護,すなわち移動に困難のある人の外出をサポートするサービスがあげられた。この情報ニーズを満たす情報源として,とくにそのサービスの利用者である友人や知人が利用されていた。

「公的施設」とは,たとえば病院や健康増進施設等,「商業施設」とは駅ビル等を指す。いずれもその情報ニーズを満たすために当該施設のウェブページを利用するという回答が複数聞かれた。一方,“病院があることは[インター]ネットで調べたらいくらでもわかるけど,ここの歯医者さんだめだよとか,逆にここのお医者さんすごいいいよとか,そういうのは口コミがいちばん(G)”という理由から,とくに近隣に住む知人を情報源にすると回答した協力者もあった。

このカテゴリでは情報ニーズを満たすために利用するインターネットについての困難が多く語られた。その困難は,当該サービスや施設のウェブページのアクセシビリティの低さに起因するものであった。

h. 雇用や教育,訓練

「雇用や教育,訓練」のカテゴリで生じる情報ニーズは「求人情報」,「教育訓練機関の利用」,「ICT技術の習得」であった。なお,「教育訓練機関の利用」には,上位校への進学や資格取得,習い事に関する情報ニーズが含まれる。「求人情報」および「教育訓練機関の利用」の情報ニーズを満たす情報源として,一般の雇用先や教育機関を希望した協力者は,インターネットの検索エンジンを選択していた。一方,視覚障害者の受け入れ実績がある雇用先や教育機関を希望した協力者は,主に出身校の職員や同じ障害のある友人や知人を情報源としていた。また「ICT技術の習得」については,同じ障害のある経験者や出身校の職員,インターネットの検索エンジンあるいはTwitterが情報源となっていた。

「求人情報」や「教育訓練機関の利用」の情報ニーズを満たす際に生じる困難として“視覚障害者への理解や情報が少なく,[情報を]手に入れるのが難しい(R)”という回答が複数聞かれた。また,とくに「教育訓練機関の利用」では“盲学校から大学に行くときには,盲学校の先生たちが交渉してくれたのですが,[志望校が]視覚障害者を受け入れる気があるかどうかっていうのを,きちんと調べなきゃなって思ってます(O)”と述べた協力者があった。なお,この協力者は一度大学を卒業し,現在再度大学進学を検討していた。ほかにも“障害がネックになったりとか,向こう[すなわち教育訓練機関]が障害者の受け入れに積極的じゃないところもあったりすると思うんですよ。だからそれをクリアできる,そういうの[つまり障害者の受け入れ]を拒否しないようなものがすぐ探せると[いい] (K)”のような発言もなされた。この発言は,障害のある人びとが「雇用や教育,訓練」のカテゴリでもつ情報ニーズに関連して遭遇する障壁の一端,すなわち障害を理由として各機関に受け入れを拒まれることへの懸念を示している。この一方“もっと興味に応じて[探し],受け入れてもらえるかどうかは交渉次第なんじゃないか(E)”という姿勢で求人や教育訓練機関を見つけ,障壁に遭遇した場合は交渉を試みると述べた協力者もあった。

i. その他(必要であるにもかかわらず得ることができていないと感じている情報)

すべてのカテゴリで質問を終えたのち,自由回答形式で「必要であるにもかかわらず得られていないと感じている情報」について尋ねた。それらの回答は内容の類似性によって3つに大別された。

ひとつめは,視覚で把握することが前提となっている情報の中で,とりわけ音声言語化されない情報についてであった。ある協力者は“信号機がわかる,わからないっていうのはほんとうに生活の中で大きな障壁(J)”と述べ,他の協力者は“施設の玄関のところにアルコール消毒ありますよね,どこでも今あると思うんですけど,[それが]どこにあるかわからないし,あるかどうかも教えてもらわないとわからない(I)”,あるいは“バス[停]で緊急で貼られた[ダイヤ変更等を示す]やつなんていうのはどうしようもなかったりもする(E)”と回答した。

また,音声言語化されない情報に関連して,目の前にある墨字資料の中から自身の必要とする情報の記載されたものを特定することが難しいという声もあった。たとえば,新聞の折り込みチラシから“読みたいものをまず見つけないといけない(Q)”という意見が聞かれた。今回の協力者の中には,日常的に墨字資料をOCR機能で読むと回答した者が複数いたものの,読もうとする資料の選別に困難が生じていることがうかがえた。ほかに,講習会や研修会などに参加する協力者は,そこで配付される紙資料が“だいたいみんな墨字が多い(N)”と述べ,入手した墨字資料の仕分けへの支援を求めていた。

ふたつめに,非常時や緊急事態が発生したときの情報についての意見があった。“[日常は]無意識で,ルーチンである程度覚えたとおりに動けるんですけど,非常時は,ちゃんとした情報が届くのか,動けない上に情報的にも物理的にも孤立しちゃうんじゃないかという不安がある(E)”,“大きな災害が起きた場合とか,日常じゃなくなったときすごく困るので,そういう情報をすぐに届けてもらえるものがあればいい(G)”という声が聞かれた。

最後に,情報の存在についての発言をあげる。“[自身が]調べようと思って調べたことしか知ることができない(I)”,“[自身が]知らないことはそもそも情報として入ってこない(E)”,“世界にどういう情報がそもそもあるかっていう情報が不足しているから,何を求めていいのかっていう,それ自体が,弱い部分がある(C)”というように,自身が認識している情報以外に求めることができる情報があるのか,あるとすれば,それはどのような情報であるかについて知りたいというニーズのあることが示唆された。

IV. 視覚障害者の情報ニーズと情報源の実際

A. インタビュー調査の結果概要

インタビュー調査の協力者は,30代から70代の視覚障害者18名であった。インタビューは構造化部分と半構造化部分からなる。構造化部分では,協力者の基本的な属性のほか,情報入手のために日常的に利用している手段を全員に統一して質問した。半構造化部分では視覚障害者が必要とする健康および社会的な支援に関する情報について,Mooreによる8つのカテゴリを枠組みとして,各カテゴリにおける情報ニーズ,それを満たす情報源,そしてその情報ニーズを満たす際に生じる困難について尋ねた。

情報入手のために日常的に利用している手段は,回答の多い順に,「家族・友人・介助者」,「点字媒体」,「テレビ」,「ラジオ」であった。「PC」や「スマートフォン」,「携帯電話」といったICT機器はそれらの次に回答が多かった。

Mooreによる8つのカテゴリの中で,もっとも多くの情報ニーズがあげられたのは「移動」であり,次に「給付や給付金」,「一般的な健康情報」,「福祉用具」が同数で続いた。以下,「サービスや施設」,「住宅や居住施設」,「雇用や教育,訓練」,「目の病気,その治療」の順で情報ニーズが多かった。

それぞれの情報ニーズを満たすために利用される情報源は,「インターネット」,「人」,「公的な窓口」,「マスメディア」に大別できた。協力者は情報ニーズを満たすために,単独の情報源のみを利用する場合もあれば,複数の情報源を併用する場合もあった。また,カテゴリによっては,同じ種類の情報ニーズをもったとしても,協力者によってその情報源を選択する理由,つまり情報源に対する要求や条件が異なることが明らかとなった。

B. 視覚障害者の情報ニーズとそれを満たすための情報源,遭遇する困難の実際

「インターネット」,「人」,「公的な窓口」,「マスメディア」の4つの情報源のうち,とくに利用頻度が高かったのは「インターネット」と「人」であった。以下,各情報源について詳しく述べる。

1. 4つの情報源の概要

情報源「インターネット」とは,協力者がインターネット上に公開された情報をPCやスマートフォンなどで閲覧する際の対象を意味する。例として,検索エンジンやサピエ図書館,自治体等の専門機関やサービス提供施設が作成する各種のウェブページ,スマートフォンアプリ(メッセージアプリは含まない)があげられる。

次に,「人」は,各協力者と私的な関係にあり,双方向のコミュニケーションによって情報を入手できる情報源である。家族をはじめ,同じ障害のある友人や知人,障害のない友人や知人,それから専門家(その分野に詳しい人物)や出身校の職員などがこれにあたる。そうした「人」とのコミュニケーションは,対面のほか,電話,メール(メーリングリストを含む),スマートフォンやPCのメッセージアプリ等で行われる。

そして「公的な窓口」とは,居住自治体の役所や点字図書館,公共図書館などの一般に開かれた窓口であり,この窓口では多くの場合,双方向のコミュニケーションによって情報を入手できる。なお,民間の不動産仲介業者も,市中に店舗を設けているためこれに含めることが可能である。

最後に「マスメディア」は,テレビやラジオ,新聞,雑誌など,一般的なマスメディアのほか,居住自治体や視覚障害者支援施設の広報などが該当する。これはすなわち,各種の媒体を通じて広く市民に情報を発信し,知らせることを目的とする情報源である。

2. 困難の分類

従来,文字情報は紙の媒体に墨字で記されることがほとんどであった。そのため,視覚に障害のある場合,独力で文字情報にアクセスすることは非常に困難であり,常に晴眼者の助けを得ながら,必要な情報を点訳あるいは音訳,朗読してもらう必要があった24, 25)。それは図書だけでなく,折り込みチラシを読んだり,預金通帳を確認したりするといった日常的な作業にも当てはまる26)。なお,現在ではOCR機器の機能が向上し,スマートフォン等で手軽に利用できるようになるなど,視覚障害者が独力で文字情報を認識する機会が増えているものの,その性能面には課題が残されている。

これに対し,情報源「インターネット」が従来の文字情報へのアクセスという困難を縮小する一助を担っていることが,今回の調査から明らかとなった。実際,“やっぱり,インターネットにつながったパソコンというのは,ほんとうに,最近の情報獲得手段としては圧倒的に有効だと思います(C)”,“全然[インター]ネット[上での情報入手]とかだったら,人[の助け]いらないよね,自分で完結できると思いますよ(G)”,“音声で内容とかも検索をしたり,検索したものを具体的に聞いてですけれど,自分で入手するということでは,[インター]ネットはとても[利点がある] (H)”という意見が聞かれた。これらの意見からは,「インターネット」が情報源として肯定的に受け入れられていることがうかがえる。

しかし,数々の先行研究で示されている通り,やはり「インターネット」という情報源には,ウェブアクセシビリティの低さから生じる困難との遭遇という問題が存在する27, 28)。この問題はPCやスマートフォン,携帯電話を利用しているすべての協力者が言及していた。

すなわち,音声ブラウザやスクリーンリーダーは基本的にテキストデータを音声に変換するものにすぎず,内容が画像で示された場合には,そこで表示されている文字は音声には変換されない。石川准が指摘したこのような状況29)が現在も多くの場合に継続している。いわば「文化・情報面での障壁」とも呼べる要因は,視覚障害者が情報ニーズを満たす際にいまだ困難をもたらしているわけである。

なお,例外として,情報源「インターネット」がもっとも多く利用されていた「移動」のカテゴリでは,「乗換案内や時刻表」のニーズを満たす際の困難は,先に述べた不必要な広告の表示についてのものを除いては聞かれなかった。これは,乗換案内のアプリやサイトでアクセシビリティへの配慮がなされているためであり,この情報ニーズについては,それを満たす際の困難が低減されている一端がうかがえた。

この「文化・情報面での障壁」は,社会的障壁のひとつとして,1995年版障害者白書30)で掲げられているものである。これは,情報提供者の情報の伝え方が不十分であり,各人の必要な情報が得られないことを指す。この障壁は,音声や点字,テキストデータなどでの情報提供やアクセシビリティへの配慮が不足しているために生じるものであり,その原因が情報源自体に内在するといえる。

これに加え,インタビュー内容を分析する中で,視覚障害者が遭遇する困難のうち,その原因が情報源の外部にある困難の存在も認められた。これは,情報ニーズの誘因となった問題を解決しようとする際に遭遇する困難である。とくに,カテゴリ「住宅や居住施設」における「不動産の賃貸や購入」,あるいはカテゴリ「雇用や教育,訓練」における「教育訓練機関の利用」といった情報ニーズに関連して,この種の困難への言及があった。すなわちこれは,情報ニーズを情報源で満たしたのちにとられる問題解決行動において遭遇する困難である。

その一例として,「不動産の賃貸や購入」では,不動産賃貸契約の際,視覚に障害があるために火の不始末を起こすかもしれないなどの理由で契約を撤回された経験をもつ複数の協力者がそれについて語った。また,他の協力者は「教育訓練機関の利用」において,学びたい教育訓練機関を見つけたとしても,そこが視覚に障害のある自身を受け入れるかどうかを調べる必要があるとも述べた。これらは情報ニーズを情報源で満たしたのちの問題解決行動の中で生じた困難であるため,正確には情報ニーズを満たす際の困難とはいえない。しかし,協力者の語りを分析すると,情報ニーズに関する困難として一体的に感じられていることが見て取れた。1995年版障害者白書30)での社会的障壁の分類に当てはめると,情報ニーズ「不動産の賃貸や購入」では「意識上の障壁」が,同じく「教育訓練機関の利用」では「制度的な障壁」が困難として,それぞれの問題解決行動の際に現れていたといえる。

なお,「意識上の障壁」とは,障害に対する心ない言葉や障害への無関心,障害のために周囲がその人を受け入れないことである。障害のある人びとを,障害のない人びととは異なった特別の存在として考える態度から生じるとされる。「制度的な障壁」とは,社会の制度や規範により,障害のある人が能力以前の段階で機会の均等を奪われることを指す30, 31)

3. それぞれの困難の解消

今回の協力者は情報源自体に起因する困難に遭遇した際,それを解消するために“[晴眼者の]目を借りる(F)”,“正確性と,スピードも,ちゃんと情報として得るんだったら[目の見える]人に[声で]読んでもらうのが確実ですね,紙の媒体であればね(G)”と述べていた。そのほか,公共図書館の対面朗読や文字情報サービス等の公的な窓口を利用したり,ホームヘルパーやガイドヘルパーに依頼したりすることにも言及があった。つまり,晴眼者を代読の手段として用いることにより,情報源自体に起因する困難を解消しているわけである。ただし,“あきらめる[こと]もありますし,必要性が強くてどうしてもあきらめられない,そういうときは人の助けを借りたりすることもありますし,手を変え品を変え,同じ情報を別の方法で得る努力,試みはします(C)”という協力者の発言にあるように,情報源自体に起因する困難が著しい場合は「あきらめる」という選択肢も存在し,困難を乗り越えられる場合も過分な労力が必要であることが示された。

これらの困難へは,複数の協力者が利用していると回答したOCR機器やアプリ等の性能向上に加え,今後,情報提供者が視覚障害者をはじめ,多様なユーザーの存在を意識することで対応する必要がある。たとえば,ウェブアクセシビリティについていえば,Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)32)やJIS X 8341-3の改正に合わせて刷新された「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」33)等に則ったウェブページが制作されるなどして,改善していくことが期待される。

一方,前項で述べたように,インタビューでは,情報ニーズを情報源で満たしたのちにとられる問題解決行動において遭遇する困難の存在も聞き取れた。協力者の回答の中には,この種の困難の存在をあらかじめ認識した上で情報を探す様子がうかがえた。こうした困難に直面した協力者は,回避や交渉などによりその困難への対処を試みる。

協力者がその問題解決行動の際に遭遇する困難の存在を予想し,その困難への対処として回避が適当であると判断する場合,協力者は回避の方法を前もって考慮しながら情報を求めようとする。このような場合の情報源として「インターネット」が有用ではないこと,代わりに「人」を情報源として利用することがインタビューの回答に表れていた。実際,その中には,ふだんから「インターネット」をよく用いる協力者であっても,「不動産の賃貸や購入」に関する情報ニーズを満たすために「人」を情報源とする例が見出された。具体的には,「不動産の賃貸や購入」については,こうした経験をもつ同じ障害のある友人や知人を利用していた。

以上を要約すれば,インタビュー回答の分析から,情報源「インターネット」は,従来独力で得ることが不可能であった文字情報へアクセスすることができるため,情報源として多数利用されていることが明らかとなった。また,紙媒体に印刷された文字情報へも,スマートフォンアプリや支援機器を介してアクセスする機会が増えている状況がインタビュー回答から推し量ることができた。しかし,アプリや支援機器のみでは読み取りの正確性に欠ける場合も多くあり,文字情報へのアクセスという困難に遭遇した場合,基本的には晴眼者を介してその情報へのアクセスを試みていた。画像や動画で示される情報についても同様のことがいえる。

一方,情報ニーズを満たしたのちの問題解決行動の際に遭遇する困難については,本研究の協力者はその困難の存在を認識しており,その困難への対処として回避あるいは交渉を試みていた。困難の回避を選択した場合には,「インターネット」ではなく「人」が情報源として利用されることが多く,とくに,この困難の経験者や同じ障害のある友人や知人が有益であるとされていた。したがって,協力者は情報ニーズやその情報源に関連して生じる困難の性質によって,情報源を使い分けていることが示唆された。

C. 本研究の意義と限界,および今後の課題

本研究では,Mooreによる8つのカテゴリに沿って,日本における健康および社会的な支援に関する視覚障害者の情報ニーズを把握し,それを満たすための情報源を明らかにすることを試みた。その結果,各カテゴリで情報ニーズの有無にばらつきはあったものの,それぞれ複数の情報ニーズを聞き取ることができ,また,それを満たす情報源についての詳細を明らかにした。加えて,情報ニーズを満たす際,あるいは満たしたのちに生じる困難の性質によって情報源を使い分けている実際の状況を新たに把握できた。このことは,視覚障害者が必要とする情報を必要なときに入手できる環境を整備する手がかりとなると考えられる。

また,インタビューの自由回答の中で,視覚障害者が必要な情報を必要なときに入手できる環境は,情報を「散布」するだけでは構築できないと述べた協力者があった。「散布」という表現は,その協力者のものである。この言葉は,受け手の立場を考慮しない情報を手当たり次第に発信しても意味がないということを意味している。この発言はMooreがその報告書11)で行った,情報を単独で提供するだけでは不十分であり,同時に助言や申請の奨励などが必要であるという主張と問題意識を共有している。

これに関連して他の協力者から,視覚障害者へ情報を提供するために開発された二次元コードおよびそれを読み取るためのスマートフォンアプリを使用する際の困難についての言及があった。具体的には,役所から届く通知の例があげられる。通知に付された二次元コードをアプリで読み取ればその内容を知ることはできるものの,必要とされている手続きや申請ができるわけではないという不便が生じていたのである。これは前述の協力者の言う情報の「散布」の一例といえる。

言い換えれば,必要な情報を入手するための環境をよりよいものにするために,情報の送り手はどのような情報を誰に届けたいのかを明確にすると同時に,その受け手と協力の上で,より理解し活用しやすい表現形式に情報を整理し提供する重要性が見出されたことになる。以上のことは,この調査のもうひとつの成果であったと思われる。

本研究の限界は,繰り返し述べているように,調査対象者が情報を入手する手段を豊富にもつ人びとであったため,偏ったサンプルに基づく調査となったことである。しかし,そういった人びとであっても,情報ニーズを満たす際,あるいは情報ニーズの誘因となった問題を解決しようとする際,困難に遭遇することが明らかとなった。そして,その困難の詳細を具体的に把握することができた。情報ニーズを満たす際に生じる困難は,1995年版障害者白書30)で定義された「文化・情報面での障壁」ともいえる,情報源自体のアクセシビリティに起因していた。また,情報ニーズの誘因となった問題を解決する際に遭遇する困難は,同白書でいう「意識上の障壁」あるいは「制度的な障壁」であり,本研究の協力者はこの存在を認識した上で情報源を選択している可能性も示唆された。

今回見出された健康および社会的な支援に関する視覚障害者の情報ニーズとそれを満たすための情報源についての結果を,実践において活用できる形にすることが今後の課題である。また,本研究ではMooreが視覚障害者の必要とする情報の分析に利用した6つの観点のうち「クラスタ」11)を用いた。研究の次の段階として,視覚障害者が情報を入手する環境を整備し,その情報ニーズの充足を図るために,「クラスタ」以外の観点も導入し,現在の日本の状況への適用を検討する。そして,それをもとにした現在の日本における全盲,弱視といった視覚障害者,とくに困難を抱えやすいとされる後天性の人びとに焦点を当てた研究が必要であると考えられる。

謝辞Acknowledgments

本論文は,2020年度慶應義塾大学大学院文学研究科修士論文に基づき,加筆修正を施したものです。執筆にあたり,2021年度三田図書館・情報学会研究助成およびJST次世代研究者挑戦的研究プログラムJPMJSP2123の支援を受けました。本調査およびプリテストにご協力くださった皆さま,調査実施にご尽力くださった点字図書館の皆さま,査読者の先生方,そして,本研究の全般にわたりご指導くださった岸田和明先生に御礼申し上げます。

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